【残業代ゼロ?】管理職で20年勤めて退職金なしの悲劇

製造業で20年間勤務していた40代男性(仮名:Cさん)から、衝撃的な労働実態が寄せられました。
それがこちら
月250時間の長時間労働、休日も電話一本で呼び出され、威圧的な上司からの叱責で電話恐怖症に。
そして20年勤めた末に待っていたのは、退職金ゼロという現実でした。
「役職が付いていた為、残業手当が付かない」
この一言で片付けられた、Cさんの壮絶な体験をお伝えします。
この記事を読んでわかること
- 管理職でも違法な長時間労働の実態
- 名ばかり管理職の残業代未払い問題
- 退職金なしという信じられない労働条件
同じような境遇で苦しんでいる方の参考になれば幸いです。
月250時間労働が「当たり前」だった異常な日々

残業代なしで過労死ライン超えの労働
Cさんは製造業の会社で管理職として働いていました。しかし、その労働時間は常軌を逸していました。
「月間労働時間が250時間が平均でした」
月250時間労働というのは、どれほど異常なことか分かりますか?
法定労働時間は1日8時間、週40時間と定められています。月の労働日数を20日とすると、通常の労働時間は160時間程度。
つまり、Cさんは毎月90時間もの残業をしていたことになります。
厚生労働省が定める「過労死ライン」は、月80時間の時間外労働です。Cさんはこれを大幅に超える労働を強いられていました。
過労死ラインを超える労働の危険性は、以下のとおりです
- 脳血管疾患のリスク増大:脳出血や脳梗塞の危険性が高まる
- 心疾患の発症リスク:心筋梗塞や狭心症などの心臓病
- 精神疾患の発症:うつ病や適応障害などのメンタルヘルス不調
- 免疫力の低下:風邪を引きやすくなり、回復も遅くなる
- 集中力・判断力の低下:仕事のミスが増え、事故のリスクも上昇
しかも、「役職が付いていた為、残業手当が付かない」という理由で、この膨大な残業に対する対価は一切支払われませんでした。
管理職だから残業代なしは本当に合法なのか?
ここで重要なのは、「管理職」と「管理監督者」は違うということです。
労働基準法で残業代の支払い義務が免除されるのは「管理監督者」だけです。管理監督者として認められるには、以下の厳格な要件を満たす必要があります
- 経営者と一体的な立場
- 経営方針の決定に参画している
- 採用や解雇の権限を持っている
- 部下の人事評価に実質的な権限がある
- 労働時間の裁量
- 出退勤時間を自分で決められる
- 遅刻や早退をしても減給されない
- 労働時間管理を受けない
- ふさわしい待遇
- 一般社員と比べて相応に高い給与
- 管理職手当が十分に支給されている
- その地位にふさわしい処遇
Cさんの場合、月250時間も働かされていた時点で、労働時間の裁量がないことは明白です。これは典型的な「名ばかり管理職」のケースと言えるでしょう。
休日でも電話一本で現場へ…プライベートゼロの生活
さらに過酷だったのは、休日の扱いです。
「休みの日でも電話一本で現場に向かうこともあり、休みではなくなったこともよくありました」
休日は労働者の権利です。しかし、Cさんにとって休日は「いつ呼び出されるか分からない待機日」でしかありませんでした。
労働基準法では、管理監督者であっても深夜労働(午後10時~午前5時)については割増賃金を支払う義務があります。また、休日に呼び出されて働いた場合、それは明らかに労働時間としてカウントされるべきものです。
休日出勤の常態化は、以下のような深刻な問題を引き起こします
- 家族関係の悪化:家族と過ごす時間が取れない
- 慢性的な疲労:身体が回復する時間がない
- 趣味や自己啓発の時間喪失:人生の豊かさが失われる
- 社会的孤立:友人との交流も困難に
Cさんの会社では、こうした法的な保護も、人間としての尊厳も無視されていたのです。
威圧的な上司による精神的虐待で電話恐怖症に

上司が変わってから始まった地獄の日々
Cさんの職場環境が激変したのは、数年前に直属の上司が変わってからでした。
「威圧的な方でした」
この短い言葉に、Cさんの苦しみが凝縮されています。
新しい上司は、仕事終わりや休日にも頻繁に電話をかけてきました。そして、その電話の内容は…
「その度に威圧的な叱責を受け、電話恐怖症になりました」
電話恐怖症の症状は深刻です
- 着信音を聞くだけで動悸が激しくなる
- 電話が鳴ると手が震える
- 冷や汗が止まらない
- 呼吸が苦しくなる
- パニック発作を起こすこともある
これは立派なパワーハラスメントです。
職場のパワハラとは、職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える行為を指します。
パワハラには6つの類型があり、Cさんのケースは「精神的な攻撃」に該当します
- 身体的な攻撃:殴る、蹴るなどの暴行
- 精神的な攻撃:暴言、侮辱、名誉毀損的な発言
- 人間関係からの切り離し:仲間外れ、無視
- 過大な要求:明らかに遂行不可能な業務の強制
- 過小な要求:能力とかけ離れた程度の低い仕事を命じる
- 個の侵害:プライベートに過度に立ち入る
家族も心配するほどの精神状態…笑顔を失った日々
パワハラの影響は、仕事だけでなくプライベートにも及びました。
「一時精神的にまいってしまって、プライベートでも笑うことができなくなり、家族にとても心配されました」
笑顔を失う。これほど深刻な精神状態はありません。
うつ病の初期症状として、以下のようなものがあります
- 何をしても楽しくない(無快感症)
- 笑えなくなる
- 食欲がなくなる
- 眠れない、または過眠
- 集中力の低下
- 自己肯定感の喪失
- 死にたいと思うことがある
長時間労働による身体的疲労に加え、上司からの精神的虐待。この二重の苦しみが、Cさんの心を壊していきました。
家族の前でさえ笑えなくなる。これは明らかに異常な状態です。
家族から見たCさんの変化も深刻だったでしょう。いつも疲れ切った顔をして、会話も減り、休日も寝てばかり。そんな父親(夫)の姿を見て、家族も不安だったはずです。
20年勤めて退職金ゼロ…報われない会社員人生の現実

信じられない福利厚生の実態
そして、最も衝撃的だったのが退職時の扱いです。
「20年勤めましたが、退職金はありませんでした」
20年間、月250時間も働いて、退職金がゼロ。
これは単なる福利厚生の問題ではありません。労働者の尊厳に関わる問題です。
退職金制度について、法律上の観点から見てみましょう。実は、退職金制度を設けることは企業の法的義務ではありません。しかし、厚生労働省の調査によると、退職金制度を導入している企業の割合は約75%に上ります。
企業規模別の退職金制度導入率
- 1,000人以上:92.3%
- 300~999人:91.8%
- 100~299人:84.7%
- 30~99人:72.0%
つまり、ほとんどの企業が退職金制度を設けている中で、Cさんの会社は例外的な存在だったのです。
20年間の貢献に対する仕打ち
20年という歳月の重みを考えてみてください。
- 新卒で入社した人なら、22歳から42歳まで
- 子どもが生まれ、成人するまでの時間
- 人生の最も働き盛りの時期
この貴重な20年間を、Cさんは会社に捧げました。月250時間労働を20年間続けると、通常の労働時間より約21,600時間も多く働いた計算になります。
これは、通常の労働者が10年以上働く時間に相当します。つまり、Cさんは実質的に30年分の労働をしたようなものです。
それに対する会社の答えが「退職金ゼロ」。あまりにも非情です。
名ばかり管理職の可能性…失われた残業代を計算すると
Cさんのケースを見ると、「名ばかり管理職」の可能性が高いです。
労働基準法上の「管理監督者」として認められるには、先ほど述べた厳格な要件を満たす必要があります。
月250時間も働かされ、休日も自由に取れず、退職金もない。これは明らかに「管理監督者」の要件を満たしていません。
つまり、本来なら残業代が支払われるべきだったのです。
仮に、月90時間の残業に対して適正な残業代が支払われていたとしたら…
- 時給2,000円として計算
- 残業代の割増率25%
- 月90時間×2,500円=225,000円
- 年間:270万円
- 20年間:5,400万円
もちろん、これは単純計算ですが、Cさんが失った残業代は途方もない金額になる可能性があります。
労働者の権利を守るために知っておくべきこと
Cさんのような被害者を出さないために、労働者が知っておくべきことがあります
1. 証拠を残す
- タイムカードのコピー
- 業務メールの送信時刻
- 業務日誌やメモ
- 給与明細書
2. 相談窓口を活用する
- 労働基準監督署
- 都道府県労働局
- 弁護士(労働問題専門)
- 労働組合
3. 時効に注意
- 残業代請求の時効は3年
- パワハラの慰謝料請求は3年
- 早めの行動が重要
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まとめ:あなたの会社は大丈夫?今すぐ確認すべき3つのこと
Cさんの体験から、私たちが学ぶべきことは3つあります。
1. 管理職でも残業代が出る場合がある
「名ばかり管理職」なら、未払い残業代を請求できる可能性があります。自分が本当に管理監督者の要件を満たしているか確認しましょう。
2. 長時間労働は命に関わる
月250時間労働は明らかに過労死ラインを超えています。健康より大切な仕事はありません。身体からのSOSを無視しないでください。
3. パワハラは我慢する必要なし
威圧的な上司による叱責は立派なパワハラです。証拠を集めて対処しましょう。一人で抱え込まず、必ず誰かに相談してください。
もし今、同じような環境で働いているなら、すぐに行動を起こしてください。
今すぐできること
- 労働時間の記録を始める
- 給与明細を確認する
- 労働基準監督署に相談する
- 転職エージェントに登録する
20年働いて退職金ゼロ。そんな会社に、あなたの人生を捧げる価値はありません。
人生は一度きり。後悔のない選択をしてください。
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